1994年12月 ● 最高にドラマティックな夜

1994年の神戸は狂っていた。

9月に関西国際空港が開港したせいかどうかはわからない。

前年に行われたニューオリンズ音楽祭の話は前に書いたが、それに勝るとも劣らないイベントが神戸のチキンジョージで繰り広げられた。

うすれた記憶の中をたどれば、Blue Magic, Bootsy Collins, Ohio Players, Gap Band, Maze featuring Frankie Beverly...(他は思い出せない) がたて続けにやって来たのだった。

どれも素晴らしいライヴだったが、特に忘れられないのが Dramatics だ。

 

12月21日のチキンジョージLIVEの前日の夜遅く、主催のアイシャの増田さんから「今日着いたのでメンバーを連れて行っていいか?」との電話があった。半信半疑でドキドキしながら待っていると約1時間後、増田さんを筆頭に黒い人がぞろぞろと入って来た。ああ・・・L.J.レイノルズがいる・・・おお!ロンバンクスもいるぞ・・・と、しばらくは興奮を超えた緊張感で体が包まれていた。

メンバーはみんなフレンドリーで、ソウルミュージックが好きなお客さんも多かったせいか、とても楽しそうだった。L.J.は爪楊枝をくわえたままで女性にばかり声をかけていた。 

あわててレコードを取りに帰るお客さんもいた。

全員、皿に盛った塩をなめながらブランデーのストレートを飲んでいる。

2,3杯飲んでさらに気分がよくなったのか、突然、BGMで流れていた自分たちのレコードに合わせて

L.J.が歌いだした。そして他のメンバーがコーラスをつける。生ドラマティックス。感動・・・

しばらくすると、テンプテーションズの曲をリクエストされた。

流れ出すと今度は全員が踊りだした。またもや感動・・・

あまりに一生懸命踊っているので、増田さんに聞いてみたら、どうも明日のチキンジョージでテンプスの曲を歌うらしくて、その練習をしているそうだった。

その日は、噂を聞きつけてどんどんお客さんが増えてきて、ゆっくり観賞していられなくなったのですが、

帰り際にお前の好きな曲は?と聞かれ "In The Rain" と答えると即座にアカペラでワンフレーズ歌ってもらえました。感無量・・・

 

L.J とアイシャの増田さん,後はMJ
L.J とアイシャの増田さん,後はMJ
ドラマティックス和気あいあい,後は沼ちゃんとヒロくん
ドラマティックス和気あいあい,後は沼ちゃんとヒロくん

ライブ当日は、オープニング・アクトのヒューマン・ソウルも炸裂し、ドラマティックスのステージは更に盛り上がり、沸点を超えていました。これぞコーラスグループの王道 !!

 

前日の出来事も含めて夢のような2日間でした。

 

そして翌年やってきたのは、阪神大震災。

やっぱり1994年の神戸は狂っていた。

 

*神戸のみんなにメリークリスマスと伝えてくれと、

25日の名古屋公演のあと電話をくれた ロン・バンクスは201058歳で亡くなった。

オハイオ・プレイヤーズのシュガーフットも今年の1月に天国に行った。

ムーンライトで楽しそうに過ごしていたことを想い出す。 R.I.P.